遺産分割協議書の作成と業際問題


相続・遺言業務の取扱件数は年々増加傾向にあるとされています。
相続の手続きには、複数の法律専門の士業による独占業務と、それ以外の非独占業務の両方で構成されています。
高齢者の増加とともに相続手続きの案件も増えていくとされていますが、中でも遺産分割協議書の作成は弁護士法72条違反となる危険性が高いと言われています。
相続手続きの中の相続人の調査や相続人間の関係説明図の作成や遺産分割協議書を作成することは、行政書士法1条の2の権利義務・事実証明に関する書類の作成に該当する業務とされているため、行政書士が取り扱うことができますが、以下のように例外があります。
| 相続人間に争いがある場合 | 紛争性のある法律事務として 「弁護士」の業務。 |
| 税金関連の詳細な相談、手続き等 | 「税理士」の業務。 |
| 登記に関する詳細な相談、手続き等 | 「司法書士」の業務。 |
また、たとえ弁護士でも相続人間の対立の間に入り、協議を調整することは双方代理禁止規定(民法108)によりすることができません。
当初は円満な協議書の作成を望んでいたり、相続人等全員の同意のもとに業務に取り掛かったりしていても、途中で状況に変化がある場合もあり紛争につながる危険性が全く無いとは言い切れません。
やりとりをするうちに状況が変わることも多く、弁護士法72条違反となるかどうかを最初から予見することは困難と言われています。
その都度、違法行為に当たらないか確認しながら手続きを進めていくことが大切と言えます。
相続人同士が不仲だったり、以前に特別受益などがあり今後紛争に発展しそうなことを感じながらも、一時の全員の同意があったからと受任してしまったり、途中信頼関係が壊れてしまっていて納得していない相続人等が存在するにも関わらず業務を進めてしまったりするようなことがあると、弁護士法72条違反となってしまう確率が高くなります。
つまり、依頼主や相続人の微妙な気持ちの変化を見逃さずに誠実な業務を心がけることで、弁護士法72条違反になるリスクを下げられるのかもしれません。
遺産分割協議の前に、相続調査の結果や財産の目録等が確定した段階で依頼者や相続人との関係性をもう一度よく確認することでリスクを避けられる場合も多いようですので注意していきたいと思います。

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